評価:★★★☆☆
なぜ、この本を読もうと思ったか
かなり前に文庫本が発行され、それを書店で見かけた時に気にはなったものの、結局その時は購入に至りませんでした。先日図書館を訪れ、ずらりと並んだ本棚を行ったり来たりしながら眺めていた時に、たまたまこの本の背表紙が目に入り「そういえば、いつか読もう読もうと思いながら、結局読んでいなかったなー…」と思い、読む時が来たのかな?と感じて読むことにしました。
主な登場人物
佐伯 健太郎
司法試験浪人。姉からの依頼で、亡くなった祖父(宮部久蔵)の事を調べることになる。
佐伯 慶子
佐伯健太郎の姉。ジャーナリスト志望のフリーライター。
大石 賢一郎
健太郎と慶子の義理の祖父
宮部 久蔵
この物語の最重要人物。特攻(戦争)で亡くなっている。
以下、宮部久蔵を知る手がかりとなる人物達
長谷川梅男(元海軍少尉)、伊藤寛次(元海軍中尉)、井崎源次郎(元海軍飛行兵曹長)、永井清孝(元海軍整備兵曹長)、谷川正夫(元海軍中尉)、岡部昌男(元海軍中尉)、武田貴則(元海軍中尉)、景浦介山(元海軍上等飛行兵曹)、大西保彦(元海軍一等兵曹)
あらすじ
26歳にしてニートの健太郎が、姉から「いいアルバイトを紹介してあげる。私のアシスタント。」という突然の電話を受けるところから物語は始まる。依頼された仕事の内容は、特攻で亡くなった祖父『宮部久蔵』を知る戦友を尋ね歩き、祖父の生涯を調べることだった___。
長谷川梅男・伊藤寛次・井崎源次郎・・・戦争の時代を生き抜いた祖父の戦友をひとりひとり訪ねるごとに、祖父の人物像が少しずつ浮かび上がっていく。「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」___。生きて帰りたいと切に願いながら戦った航空兵『宮部久蔵』は “臆病者” だったのか、それとも “立派な兵士” だったのか___。
読んだ感想
戦後復興後に生まれ育ち、体験談を聞いたことがなく、戦争について書かれた書籍を読んだこともなかった私にとって、この作品を読んだことは「戦争をしていた時代がどんな時代だったのか」を知る良い機会となりました。ノンフィクション作品というわけではないので、内容の全てが真実だという風には思いませんが、「当時の雰囲気を何となくでも掴む」のには良い作品ではないかと思います。「戦争の時代のことを無知でいてはいけないな…」と思うきっかけに、私の場合はなりました。今後は、戦争について書かれた書籍も積極的に読んでみようと思います。子供の頃、戦争の時代を生き抜いた祖父母と一緒に暮らしていたのに、なぜしっかりと体験談を聞いておかなかったのだろう…と、今では後悔です。
今この平和な時代の背景に、命をかけて国を守ってくれた人達がいたのだということを、きちんと心に留めておきたいです。
〜 評価が低めの理由 〜
助詞(文法)の使い方がおかしい部分や、段落と段落のつなぎ方に違和感を感じる(流れるような切り替わりでない)ところが何箇所かあり、そのたびに読む集中力が途切れてしまったのでそれが残念でした。
(文法に関しては、文庫版では修正されていたりするのでしょうか?)