評価:★★★☆☆
なぜ、この本を読もうと思ったか
少し前に、この著者の他の作品『ツナグ』を読みました。
その時の記事はこちら。
辻村深月さんの作品を読むのは『ツナグ』が初めてだったのですが、その作品がわりと気に入ったので、他の作品も網羅してみようかと思いました。
主な登場人物
- ぼく・・・この物語の主人公。不思議な力を持つ小学四年生。
- ふみちゃん・・・「ぼく」の幼なじみ。うさぎが大好き。
- 秋山 一樹・・・大学の教授。声の先生(「ぼく」と同じ力を持っている)。
- 市川 雄太・・・医学部の三年生。「ぼく」が許せない相手。
あらすじ
あの忌まわしい事件は突然起こった___。ある朝、「ぼく」の小学校で飼っているうさぎが惨殺されたのだ。その第一発見者となってしまったふみちゃんは、ショックのあまりに感情も声も失ってしまう。大好きなふみちゃんを助けたい___。不思議な力を持つ「ぼく」は、自分と同じ力を持つ先生の元へ通い、うさぎ殺しの犯人に与えるに相応しい罰の重さを計り始める。「ぼく」が最後に選んだ答えはどんな罰なのか。そして、大好きなふみちゃんを救い出すことはできるのか___。
読んだ感想
小学生を主人公とした物語でありながら、大人が色々と考えさせられるには充分な作品だと思った。精神年齢が大人なふみちゃんの(事件前の元気だった時の)言動は大人よりも大人だし、PTSDになってしまったふみちゃんを__大切な人を助けるために犯人に立ち向かうと決めた「ぼく」の勇気ある決断と、大人相手にも流されない意志の強さ、怖くても勇敢に立ち向かう姿勢。私が小学四年生の頃はこんなに立派じゃなかったよ…と思うと同時に、残念ながら今でもそんな「勇気」や「強さ」や「決断力」は持ちあわせていない…と少し凹む。そんな私自身の未熟さに対する反省はさて置き、 この作品を最後まで読み終えた時に私が感じたことは「人の心を救うのは、やはりそれもまた人の心」ということ。復讐とかそういうことではなく、真剣な思いが相手の心を救うのだと思います。